調査研究

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大阪における解放教育のあり方研究会・学習会報告
1998年02月28日
報告1

いま教育はどこに行こうとしているのか
−21世紀への教育改革の方向−

赤尾勝巳(関西大学)




2月28日の「大阪における解放教育のあり方」研究会では、赤尾先生、鍋島先生より上記のテーマで報告をいただいた。以下は、その報告の概要である。

 報告1では、教育の全般的状況、教育課程の改革、高校入試改革、高校改革、完全学校5日制、教育の国際化・情報化、教員採用方法、新しい学校像など多岐にわたって、その現状と問題点を簡潔に整理し報告いただいた。

その中のいくつかに絞って紹介すると、(1)教育改革を議論する際には、生涯学習、学校5日制、新学力観のそれぞれを別個にではなく、生涯学習論を土台にこの3つを関連的に議論していくこと、(2)学校5日制を、量的な問題ではなく、質的な変化を求めるものとしてとらえること、(3)保護者・子どもが学校を選ぶ時代、個性的なカリキュラムを子どもが選ぶ時代へと移行していく中で、学校はどんな学力を子どもたちに保障していくかが問われていること、(4)今後、学校教育と社会教育とを結んだ教育実践がますます求められていくであろうということ、等々である。




報告2

部落の子どもたちの学力をあげる方法

鍋島祥郎(大阪市立大学)




 報告2では、部落の子の学力向上にとって学校、家庭、地域の現状は、そして課題は何かについて提起をいただいた。

  1. 学校教育では、授業づくりや個別指導に対する個々人の力量アップだけでなく、これをより効果的・継続的に進めるためのマネージメント等を含めた学校組織改革が必要であること。
  2. 従来の「同和教育の価値観」に基づく画一的な子育てから、家庭や子どもの多様性に応じた家庭教育の多様化を認めていくこと。従って、学力向上の目標や方法も家庭や子どもによって異なっていてよいこと。そのための情報提供や親教育が必要であること。

  3. 「地域教育活動」という場合、当面は、成人教育も含む社会教育分野での行政施策、公的事業、住民活動を対象に考えてはどうか。そして行政施策を「地域教育文化ストック形成」といった観点で進めていくこと。

  4. 解放運動では、文庫活動などの草の根市民教育活動や、PTA、育成協、図書館協議会などの既存の教育団体活動への部落住民の参加をプロモートしていくこと

等の提起があった。