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部落解放・人権教育啓発プロジェクト
1997年12月12日
人権教育と国際人権基準

(報告)金東勲(アジア・太平洋人権情報センタ−所長)

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「国連10年」に関わる日本政府を始め、大阪府・市等の地方自治体の行動計画や国連総会の決議文に沿っ行動計画を見ると、必ずしも国連のていない部分もある。

「国連10年」を通して人権(尊重)の普遍性を達成するためには教育に勝る道・方法はないと考える。

教育の目的としては、教育基本法世界人権宣言26条、社会権規約13条、子どもの権利条約29条、ユネスコ勧告等を参照しつつ、学校教育そのものを見直す必要を感じる。


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◆人権教育が目指すべき達成「目標」は《人権の普遍的尊重》と《非差別平等の実現》である。

世界人権宣言をベ−スに、人権の歴史的また今日的意味を教えていかなければならない。racismとあらゆる差別に反対する心を培うには大学からでは遅すぎる。初等教育から始めるべきである。

子ども、障害者、老齢者等の「弱者」はこれまで権利保護の客体として受け止められてきた。

守ってやる、保護してやる、ケアしてやるというのではなく、同じ社会の構成員としての権利主張を認め、権利享有の主体へと転換していく必要を感じる。

マイノリティ問題も、今後の日本の教育における大きな問題である。多数者である日本の子ども達に共生の心を育むことをしない限り、外国人とも共生する社会を構築することはできない。なお、この点については、開発の問題も切り離せない。


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◆展開すべき人権教育の「内容」は国際人権基準を全面的に取り入れていく作業が不可欠である。

ジェノサイド条約、人種差別及び女性差別撤廃条約、障害者権利宣言等々の「条約」「宣言」或いは「勧告」を通して、こんな権利がある、こうした権利が保障されているという教育を進めていかねばならない。

「国連10年」が掛け声だけで終わってしまわぬよう、系統的なカリキュラムを作成しつつ、教員養成も段階的に改善していく必要があるだろう。