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掲載日:2005.04.05
国際人権

人権教育のための国連10年」にちなんだ取り組みを総括し、「人権教育のための世界プログラム」に取り組むことを求めた要請


 当研究所では、本年1月より「人権教育のための世界プログラム」が「人権教育のための国連10年」に引き続いて取り組まれることを踏まえ、政府人権教育推進本部に、次のような要請書を提出しました。全文を紹介します。
2005年4月18日
社団法人部落解放・人権研究所
理事長    村越末男

「人権教育のための国連10年」推進本部
 本部長  小泉純一郎 様
( この他、副本部長、本部員 宛 )


「人権教育のための国連10年」にちなんだ取り組みを総括し、
「人権教育のための世界プログラム」に取り組むことを求めた要請



 冠省

 貴台の、人権確立に向けた日頃のご尽力に敬意を表します。

 さて、人権文化を世界中に構築することによって戦争のない平和で豊かな世界を創造することを目指して1995年1月より取り組まれてきました「人権教育のための国連10年」(「国連10年」)は、昨年末で終了しました。

 この間、世界的にも、また日本国内においても、「国連10年」に連動した取り組みが実施され、人権教育の重要性に関する認識が高まり、推進体制が整備され、行動計画が策定されるなど一定の成果を上げてきました。

 しかしながら、国の内外で、今日なお深刻な人権状況が続いています。世界的には、イラクやスーダンなどで、内戦状況が続いていて多くの人命が奪われています。日本国内においても、ここ数年来自殺者が年間3万人を超していますし、児童や高齢者に対する虐待が続き、インターネット上で悪質な部落差別の宣伝・扇動が流布されています。

 こうした今日なお深刻な人権状況を直視する中から、昨年12月10日、第59回国連総会は、「国連10年」の取り組みを踏まえ、新たに「人権教育のための世界プログラム」に取り組む決議を採択しました。そして、2005年1月から2007年12月までの3カ年を第一段階と定め、初等・中等学校制度における人権教育の推進に取り組むこととし、このための行動計画案を提示しています。

 日本政府の代表は、この決議案の共同提案国に加わり、「世界プログラム」の積極的な推進の重要性を提案されました。私たちは、日本政府代表によるこの提案を積極的に支持するとともに、「世界プログラム」が速やかに実施されるために、以下の要請をします。


一、「人権教育のための国連10年」推進本部において、「国連10年」の成果と問題点及び課題を明らかにした総括を早急に行い、その結果を公表されたい。

一、日本政府として、「人権教育のための世界プログラム」に関する決議文や第一段階の行動計画案等、基本文書を日本語に翻訳し、積極的に広報されたい。

一、「国連10年」推進本部を「世界プログラム」推進本部へと引き継ぎ、「世界プログラム」を日本国内で推進していくための推進体制を整備されたい。

一、「世界プログラム」の第一段階の行動計画が国連総会において速やかに採択されるよう日本政府が積極的な役割を発揮されたい。

一、「世界プログラム」の第一段階の行動計画を踏まえた、日本政府としての行動計画を策定されたい。その際、自治体や民間団体、専門家等の意見を取り入れられたい。

一、初等・中等学校制度における人権教育を推進していくための体制を文部科学省の中に整備されたい。

一、初等・中等学校制度における教育課程に人権教育を明確に位置づけられたい。

なお、その際、人権教育の重要な柱に同和教育を位置づけられたい。 

以 上