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意見・主張
 
研究所通信244号より
掲載日:
提言

基礎的・実証的研究にもっと力を

朝治 武(大阪人権博物館)

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 いうまでもなく、研究所の活動の中心は部落解放のための研究である。研究所がおこなう部落解放のための研究とは、当面する課題や方針のためのものと考えられがちであるが、これは政策研究ともいうべきもので、本来的には運動団体がおこなうべきものである。

 研究所は運動団体の下部組織でもなければ、単なるスタッフでもない。研究所としての独自の機能と役割、存在意義があるはずである。これまで現実的要請もあって、研究所が運動団体のおこなう政策研究を代行する側面があったのも事実であるが、研究所としての本来的な研究とは何かを考えるべき時点にきているのではないか。


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 部落解放をより深い・広い・長い射程で展望する必要がある現在、研究もそれに対応する必要があり、政策研究というよりも基礎的・実証的研究というべきものに重点をおくべきだと考える。

 すなわち、当面する課題や方針、政策研究をも規定し、深さ・広さ・長さをもった方向づけや枠組みのための基礎的・実証的研究である。すぐに役立つよりも長い目で見て重要な意味を帯びてくることこそが、研究の本来的な姿なのだから。


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 その意味では、基礎的・実証的研究の課題を明確にすること、これまでの例会活動のみならず基礎的・実証的研究のための共同研究をより活性化させること、仕事量の関係もあろうが研究所の職員(とくに研究部門)自身が事務局というよりも研究や調査、執筆を主体的に担っていくこと、部分的には実現しつつある嘱託研究員制度によって若い研究者を自前で積極的に育成すること、などが目的意識的に追求されねばならない。

(『明日への挑戦―部落解放研究所から部落解放・人権研究所へ30年の歩み―』より)