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意見・主張
 
研究所通信245号より
掲載日:
提言

自らに対して「人権監査」を

イアン・ニアリー(エセックス大学教授・イギリス在住)

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 部落解放・人権研究所は、これまで日本社会に関して挑戦や批判してきたことと同様のことを自らに対して(部落解放同盟など関連組織も含めて)検討を加えることを通じて、新たな発展段階に入るべきだと考えます。具体的にいうと、部落解放・人権研究所は中立な委員会を組織して「民主的監査」つまり「人権監査」を行うべきです。

 どんな方法で、どんな課題を取り扱うかは、公開討論を行い風通しのよい議論を通じて決定されるべきでしょう。その一方で、私は以下の提案をいたします。

 「監査」に携わる委員会の規模は少人数とし(10人ほど)、さまざまな分野からの人びとで構成されるものとします。委員会のなかには、少なくとも1人は日本人以外の人物、研究所に批判的な立場で知られる人(ただし公平な見解の持ち主)、アムネスティ・インターナショナルのメンバー、人権弁護士などを参加させることです。

 「監査」には、以下の領域を含む必要があります。

ジェンダーの問題。組織のスタッフの採用時や昇進をめぐって、女性に差別的な雇用慣行があるかどうか。

性的指向の問題。ゲイの男性や女性が組織内で差別を経験したことがあるかどうか。

障害者問題。身体障害者が訪問しやすいように事務所のある建物が整備されているかどうか。障害者にとって公平な雇用を行っているかどうか。

労働法関連の問題。スタッフは、法律で定められた休暇を完全にとるよう奨励されているかどうか。スタッフは公式、非公式のとがめを受けることなく通常の就業時間が終わると(残業をせずに)職場を離れることができるかどうか。

研究テーマや事業の選定が透明な方法で行われているかどうか。

 委員会は委員が任命されてから12カ月間かけて、2000年をめどに報告書の作成を行うこと。

 この作業の目的は、日本における代表的な人権団体が、自ら推進する国際基準を組織内部において完全に遵守していくよう改善していくこと、またその運営面において透明性を心がけていることを示すことにあるのです。

 このことを通じて、日本、アジア地域、国際社会において人権確立の取組みを強化しようとしている部落解放・人権研究所および関連団体の倫理的な権威が高まっていくのです。

(『明日への挑戦―部落解放研究所から部落解放・人権研究所へ30年の歩み―』より)