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2007.03.29

新聞で読む人権
2006年10月-12月

被差別民の歴史 乞胸、高野山三昧聖

  • 2006年6月16日 毎日新聞 大阪 夕刊 江戸中期 差別の法制化示す史料 『大阪の部落史』第2巻刊行
  • 2006年8月24日 毎日新聞 大阪 高野山「三昧聖」活動物語る180点 文書編纂会が発見
  • 2006年9月10日 毎日新聞 大阪 乞胸−江戸の辻芸人 リストラ武士を救済した芸人組織

<まとめ>

 三昧聖は、一般的には葬儀や墓地の管理などに携わる被差別身分の総称ですが、和歌山県高野山では「谷の者」と呼ばれ、 最下級の僧と位置付けられていたといいます。高野山真言宗・勧学院の古文書調査をしている「和歌山の部落史・高野山文書編纂会」が、三昧聖の活動などを裏 づける史料約180点を発見し、今後、その姿を明らかにしていく予定ですが、貴重な発見であり今後の取組みが期待されています。

 乞胸は、江戸時代の江戸における辻芸人(曲芸・漫才・皿回し・手品師・物真似・講談などの雑芸を演じて門付けして回る 芸人)の総称です。

 塩見鮮一郎さんの『乞胸 江戸の辻芸人』を田中優子さん(法政大学)が書評されていますが、「江戸研究者でも、歌舞伎や浄瑠璃を取上げ ながら乞胸は無視して通るのが通例である。その研究者がなかなか触れられない世界を、著者はずっと見つめてきたのである」と指摘されています。

 そして、 「乞胸は芸人でいる間(つまり仕事中)は非人組織の配化にあるが、個人としては町人である。この不思議な構図は乞胸の成り立ちが理由だった」として、「乞 胸頭・仁太夫とその組織が武士に由来する、・・・・乞胸はもともと、リストラされた浪人たちをたばねる機関だった」と本書の最も面白い発見として触れてい ます。