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2007.03.29

新聞で読む人権
2007年1月-3月

フリーターへの偏見・権利侵害

  • 2006年11月24日 毎日新聞 大阪 フリーターの権利 自ら守り始めた青年ユニオン
  • 2006年11月29日 朝日新聞 大阪 「新卒で就職できない人は欠陥品」「フリーターになっては人生台無し」
  • 2006年11月30日 日本経済新聞 大阪 正社員並みパート 賃金差別を禁止 労政審素案福利など義務規定
  • 2006年12月26日 毎日新聞 大阪 記者の目 フリーター「奴隷ですから…」労働の尊厳奪う格差社会
  • 2006年12月27日 読売新聞 大阪 パート差別待遇禁止 厚労省労働法改正案盛り込みへ
  • 2007年1月3日 読売新聞 大阪  公はどこへ1 貧困ビジネス 困窮者支援「収益上がる」
  • 2007年1月3日 読売新聞 大阪 母子加算廃止の女性「最低限度の生活って何」 生活保護の綱ほころび
  • 2007年2月12日 日本経済新聞 大阪 職業訓練費用 フリーターに公的助成
  • 2007年2月18日 朝日新聞 大阪 格差是正 失われた世代に支援を

<まとめ>

今日の格差拡大や貧困問題の核心は、いわゆる非正規労働者の処遇がきわめて劣悪であるという点にあります。1990年代の不況時には、新規採用が抑 制され、多くの若者が正社員として採用されず、アルバイトで生計を立てざるを得ない状況に置かれています。

この若年層は「失われた世代」と呼ばれ、働いて いても十分な収入を得られないというワーキングプアという現象が生じています。所得が低く、自立した生活を送ることが困難であることに加え、働き方自体 も、解雇が容易であることから常に不安定な状況に置かれ、それゆえ、厳しい労働条件や労働環境にも耐えなければならないという、人間の尊厳すらあやうくさ れる労働実態も指摘されています。また、こうした人たちに対しては、新規採用の冷え込みを度外視して、「就労意欲に欠けているのだ」とする社会の偏見も根 強いものがあります。

このような状況に対しては、ようやく、フリーターの権利を保障しようとする動きが生まれています。安倍政権の下で、底上げ戦略が打ち出され、職業訓 練費用の助成が構想されていますし、パートタイム労働について、一定の要件を満たした場合には均等待遇を強化する方向性も打ち出されています。また、フ リーターたちも、自らの働く権利を確保するために、労働組合を結成し、使用者と対等な交渉を行うようになってきました。

しかしながら、他方で最低限の文化的な生活を保障する生活保護は、不況下での受給申請増加を背景に、自立支援・保護水準切り下げという方向に舵を 切っています。その理由の一つに、働く貧困層との均衡をはかるためというものがありますが、このような議論には大きな問題があるでしょう。

まともな生活が 出来ないフリーターたちの低賃金こそが問題なのであって、ここを改善しない限り、今日の格差問題・貧困問題の解決の糸口は見えないのではないでしょうか。