Home書籍・ビデオ案内 部落解放研究 > もくじ
2010.07.09
書籍・ビデオ案内
 

部落解放研究184号(2009.01)

人権学習における「参加型」再考

年間定期購読(4,000円+税 (4冊))をご希望の方は、「お名前」「ご所属」「送付先」、「何号から」「月何冊ご希望か」を明記の上、こちらまで
もくじ 要約

特 集
わたしたち自身と社会を育てるために─なぜ人権教育を参加型で取り組むのか? → 全文PDF

-要約-
人間のすべてが﹁学ばれてきた﹂ものであり、人間が個体としても集合体としても、何をどのように学んできたかを明らかにすれば、これからの育ちのための手だてが見えてくる。人間の学びを支えるインターフェイスが言語活動である。言語と価値観の分析を通して、教育デザインを考える。

角田 尚子

部落問題を参加型学習で扱うのは難しいのか?─参加型学習に取り組む際の留意点 → 全文PDF

-要約-
人権啓発・学習において、参加型学習の実践はずいぶんと広がってきたが、部落問題を正面から取りあげたものはほとんどなく、実践の現場からは部落問題に関する参加型の教材がほしい、という声を多くきく。本稿では、参加型で人権啓発・学習を行うにあたって、よく尋ねられる不安や疑問について取りあげ、それをふまえて部落問題を参加型学習で扱うことの可能性を探りたい。

栗本 敦子

人権学習のプログラムと教材づくり─教材「人権学習シリーズ」の試み → 全文PDF

-要約-
人権学習の機会は増えてきたが、その学習内容をどのようにつくるかが課題になっている。人権を守る行動に結びつく人権学習のためには、具体的な人権問題を通じて、普遍的な人権の概念を学び、それを行動の基準や指針として具体的な場面で人権を守る行動につなげるということを学ぶ、人権学習プログラムが必要である。この人権学習プログラムの必要性を、教材づくりの試みを通じて考える。

柴原 浩嗣
論 文

「 人権教育のための世界プログラム」と「人権教育・啓発推進法」を活用した取り組みの現状と課題 → 全文PDF
─自治体の取り組みアンケート調査を踏まえて

-要約-
部落差別撤廃と人権確立をめざすうえで、人権教育・啓発の果たす役割は大きく、﹁人権教育・啓発推進法﹂と﹁人権教育のための世界プログラム﹂等を活用した自治体での取り組みが重要である。このため、二〇〇七年九月から二〇〇八年三月にかけて、全国の自治体を対象に﹁人権教育・啓発推進法﹂に基づく計画等に関する調査を実施した。本稿は、その調査結果の概要と若干の課題提起である。

友永 健三

部落解放教育と学校ソーシャルワーク(SSW)─両者の接点と今後の課題を考えるために → 全文PDF

-要約-
本稿は近年教育・福祉の両面から注目されつつある学校ソーシャルワーク(School Social Work SSW)について、その理論の概要及び先行的な実践事例を紹介しつつ、部落解放教育(同和教育)のこれまでの理論・施策・実践との関係について考察したものである。また、本稿では、SSWが子どもの教育権保障や教育の機会均等の実現に向けての活動であるならば、今後は過去の部落解放教育の理論・実践等との関係とSSWの関係についての検討が必要だと主張した。

住友  剛
短 信

合衆国におけるコミュニティ・スクーリングの現状(3) → 全文PDF

ハヤシザキ カズヒコ
レイチェル・ウィンター
書 評
辻本一英著『阿波のでこまわし』 水本 正人
三浦耕吉郎編著 『屠場 みる・きく・たべる・かく─食肉センターで働く人びと』 岸   衞
原田琢也著『アイデンティティと学力に関する研究
─「学力大合唱の時代」に向けて 同和教育の現場から』
川口 俊明
岸裕司著 『学校開放でまち育て─サスティナブルタウンをめざして』 大橋 保明

編集後記
 本号は、「人権学習における『参加型』再考」を特集テーマとし、参加型人権学習の理念・実際・現在の課題を浮き彫りにすることをねらいとした。
 角田論文は、国際理解教育を基盤とした参加型学習に関する国際的な潮流を踏まえ、人権学習が参加型で取り組まれるべき理由を明快に提示している。
 栗本論文は、人権啓発・学習を参加型ですすめるうえでの留意点を解説し、実例を踏まえながら、部落問題学習を参加型学習で扱う可能性を探っている。
 柴原論文は、大阪府人権協会で開発された、人権学習と具体的な人権問題の解決とを結びつけた教材学習シリーズを具体的に紹介し、人権学習プログラムづくりの重要さを指摘している。 
 友永論文は、人権教育・啓発推進法と人権教育のための世界プログラムをふまえた自治体の取り組みのアンケート調査結果をまとめたものである。
 住友論文は、広まりつつあるスクールソーシャルワークの取り組みとこれまでの部落解放教育が培ってきた教訓の接点と今後の課題を指摘している。
 三回目となる短信は、日本では学校運営協議会に矮小化されがちな海外のコミュニティスクールの内実を米国・ニューヨークの二校の事例をもとに報告している。
 次号(一八五号)は、「今後の隣保館のあり方」を特集テーマとしている。(U)
執筆者一覧
角田 尚子 (かくた・なおこ)  ERIC国際理解教育センター事務局長
栗本 敦子 ( くりもと・あつこ)  Facilitator, sLABO〈えふらぼ〉
柴原 浩嗣 (しばはら・こうじ)  大阪府人権協会人権啓発部長
友永 健三 (ともなが・けんぞう)  部落解放・人権研究所所長
住友  剛 (すみとも・つよし)  京都精華大学准教授
ハヤシザキ カズヒコ   福岡教育大学講師
レイチェル・ウィンター   元愛知大学助教
水本 正人 (みずもと・まさひと)  八幡浜部落史研究会会長
岸   衞 (きし・まもる)  解放研究所しが事務局長
川口 俊明 (かわぐち・としあき)  大阪大学大学院生
大橋 保明 (おおはし・やすあき)  名古屋女子大学文学部専任講師