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部落解放研究 143号掲載
玉井 眞理子

ジェンダー意識と学習・進学意欲のかかわり(下)
―T中学校における質問紙調査結果から―

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 本稿は前号(本誌142号)の後半部分である。

 ある同和推進校(中学)で行った質問紙調査により、学力実態や進学意欲とジェンダー意識との相関が明らかにされた。地区生の低学力や高校中退率の高さをもたらす一要因として、地区のジェンダー意識があげられる。これは地区生のみならず、地区外生女子にも概していえることである。

 とくに地区生に注目するならば、ジェンダー意識と「地区生であること」が、学習意欲や進学意欲に複合的に作用し、地区生女子のみならず男子にも生き方の選択肢の幅を狭められているのではなかろうか。

 というのも部落差別の結果として、地区に固有な女性像や男性像、また男女の関係のありようが歴史的に形成され、また地域内社会的紐帯が相対的に強い(あるいは地区外とのコミュニケーションが閉ざされてきた)ことが大きく影響を及ぼし、地区の文化に根ざしたジェンダー意識が構築されてきたと考えられるからである。