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書 評
 
評者渡辺俊雄
研究所通信241号掲載
藤沢靖介

「部落史の「見直し」の論点」

(『明日を拓く』23・24号、東日本部落解放研究所、1998年3月)

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 奈良をはじめとする「見直し」の論点を、筆者は(1)起源論(分断支配?)、(2)仕事(生業)と役割、経済構造、(3)貧困、近代化の意味、(4)立地・移動・枝分かれ、(5)部落と村(町)共同体、あるいは職能集団、(6)宗教・呪術などとの関係、に整理し、これまでの「政治起源説」の背景・根底にある「人の嫌がる仕事」を「役として強制された」といった部落史像にまで踏み込んで批判している。

 なお「政治起源説」の中で寺木伸明さんの論点の一つ、「近世の「えた」身分に系譜的に直結しているのは、河原者だけではない」(『被差別部落の起源』)という点に関して、関東の事例に即して言えば「渡守」「水番」「庭掃」などが「近世権力の政治的作為」によって「えた」身分になったのではなく、斃牛馬処理をしていた「長吏」が渡守や水番・庭掃もしていたのであって、「異種集団が一つになるのは簡単ではなかった」(P.79)との見通しを述べておられる。