Home部落問題入門 最近の差別事件 2001年> 差別身元調査事件、就職差別事件
 

 1998年に大阪で発覚した大手調査会社による差別身元調査事件をきっかけとして、各地で行政交渉や糾弾会が行われた結果、行政による指導や取り組みの不十分さはもちろん、企業研修の形がい化などの問題点が明らかになってきた。

 福岡銀行の福岡県内の支店の行員が同和地区の存在の有無について支店エリアの市役所への問い合わせも企業研修の形骸化のひとつで、福岡銀行自身は地元企業でつくる「福岡市企業同和問題推進協議会」(当時485社加盟)のうち9社で構成する理事会社を務めていた。1970年代の『部落地名総鑑』差別事件以来、その反省から取り組まれるようになった社内同和問題研修や各地で結成された企業の連絡組織のあり方だけでなく、企業自身の社会責任についてもあらためて問われているという事件である。

 神奈川県鎌倉市内の企業による就職差別事件は、職業安定所や労働局の公正採用選考についての地域ごとの温度差がはっきりとなった事件で、大阪の布施職業安定所職員による情報漏えい事件や、統一応募用紙違反に関する神奈川県の事例など部落差別をはじめとした就職差別につながるおそれがあり、地域ごとでの公正採用選考の認識の徹底とあわせて労働行政全体としての大きな課題もある。