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 埼玉、高知、和歌山、長野などで悪質な差別発言事件が報告されている。埼玉では隣保館のデイサービス利用者が四本指を出し、「人になれない人」と差別発言しており、毎日利用している隣保館施設についての意義や目的などは知らなかったということである。高知では病院施設内で起こった盗難事件について、病院の清掃委託会社の従業員が入院患者のつき人をあげ四本指を出している。

 さらに同じく高知では人権に関する市民意識調査の回収時に「同和ら、クソくらえ」と発言している。和歌山では特別養護老人ホーム内において入所者の一人が差別発言を行っている。長野ではホームヘルパーが訪問先で差別発言を受けている。

 2002年三月の「法」失効後、新たな部落問題の根本的な解決と人権政策確立にむけての取り組みが始まっている。とくに部落解放運動では周辺地域も含めた「人権のまちづくり」が具体的に進められ、隣保館においても昨年の「隣保館設置運営要綱」を柱に、周辺地域住民に開かれたコミュニティセンターとしての幅広い取り組みも展開されてきている。

 しかしながら、これらの事件からは深刻な差別実態がかいま見られるのが実情である。こういった部落に対する忌避的態度をなくしていくために、「積極的な共通の目標・目的」を明確にし、運動体や隣保館、行政や住民がそれぞれの立場から、協働の営みの過程をどう構築していくのかが大切である。